成人T細胞白血病
成人T細胞白血病という病気は悪性リンパ腫の一種です。
乳児の時にこの悪性リンパ腫にかかると、成長するにしたがってほとんどの場合白血病に移行します。
人間の体内には免疫のために重要なT細胞がありますが、このT細胞ががんになる病気なのです。
そしてT細胞ががんになると免疫力が無くなってしまい、
あらゆる種類の感染症にかかりやすくなってしまいます。
そうなると新菌(カビ)や虫、寄生虫やウイルスに対する免疫力がなくなりますから、
他の病気に感染し、最悪の場合は死に至ります。
しかし、この病気にかかっていても症状がでない人がかなり多いといわれています。
このウイルスを体内に持っている人をキャリアと呼びますが、
日本では120万人ほどのキャリアがいるということで、
九州など西南地域から紀伊半島や三陸、北海道まで広く分布しています。
ただし、潜伏期間が長いため病気の症状がでるのは早くて40歳代からで、
通常は60歳を過ぎてからが多いようです。
また、キャリアの全てに症状がでるわけではありません。
病気の症状
成人T細胞白血病にかかると、体に赤い発疹が出たり、全身のリンパ節が腫れたり、
肝臓や脾臓が腫れる、皮膚紅斑や皮下腫瘤などの皮膚病にかかりやすくなる、
下痢や腹痛などの消化器系統の症状が現れます。
さらには血液の中のカルシウムが増えて、
高カルシウム血症という病気になると全身に倦怠感があり、
便秘や意識障害などが起こります。
また免疫力がありませんから、
さまざまなタイプの肺炎にもかかりやすくなりますし、
髄膜炎も併発します。
また、全身にカンジダ症の症状が出たり、網膜炎の症状も出ます。
そのほかの症状としては、帯状疱疹などのウイルス感染症や寄生虫による感染症の症状が出てきます。
つまりこの病気は免疫力低下させますからあらゆる感染症にかかったときの症状がでるのです。
感染の経路
成人T細胞白血病の感染経路は、夫婦間の通常の夜の営みなどでの感染もありますが、
多くの場合、幼児の時の母乳から感染しることが多いようです。
つまり、母乳に含まれている感染リンパ球が
乳児の消化器系の胃や腸にあるリンパ球に触れて感染するのです。
その感染したリンパ球は幼児のDNAに組み込まれて、
ウイルスが分裂して増えていきます。
この分裂増殖がどんどん進んでいくうちに、
ちょっとした何かの間違いでウイルスが突然変異を起こして、
感染リンパ球が成人T細胞白血病ウイルスになると考えられています。
このように感染経路は通常の性交渉や母親の母乳からと考えられていますが、
もともとの病原ウイルスがどうして体内にできるのかは現時点では解明されていません。
治療・対処法
成人T細胞白血病には、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型などの種類がありますし、
急性転化という病状があります。
ですから治療や対処法はこれらの病型や病状に合わせたければなりません。
病状が白血病に移行した場合は抗がん剤を使用したり、
骨髄移植など白血病の治療や対処法が必要になります。
また肝機能障害が起きた場合はそれに対する治療や対処法が必要です。
合併症に対する治療法としては、専用の製剤や利尿剤、抗生物質の使用があります。
さらに、慢性型に見られる皮膚病の症状には皮膚科の治療が必要になります。
しかし、最も危険な急性型やリンパ腫型の場合は病状が急速に進行しますから、
すぐに入院して適切な化学療法を受けなければなりません。
検査方法
成人T型細胞白血病は、一般には感染しているという自覚症状がありませんから、
普通の状態では本人が医療機関に自ら検査を申し出ないと検査ができません。
または献血をする時に抗体検査を依頼しない限り、
この病気を体内にかかえているかどうかは分かりません。
検査にはこのほかに内科の診療で以前肺の病気をしたことはないか、
皮膚に異常はなかったか、排尿のトラブルがなかったか、
目に異常はないかなどがあります。
また、血液検査は欠かせませんが、半年、1年の間隔で繰り返し検査する必要があります。
血液検査で異常が疑われた場合にはさらに成人T細胞白血病に特化した検査をします。
もしも、リンパ腫が現れた時には病理検査でリンパ球からDNAを取り出して検査します。
予防法
成人T細胞白血病に感染している人のルーツの研究によると、
その祖先が同じ民族である可能性が高いという結果が通説になっています。
もし、この病気が後天的なものでないとすれば根本的な予防法はないということになります。
しかし、感染する経路が性交渉や母親からの母乳であるという事実も判明していますから、
感染予防は大きく分けてこの2つの感染経路を遮断することになります。
もし、母親がこの病気を潜在的に持っていることが分かれば母乳を止めてミルクなどに
切り替えれば乳幼児への感染にリスクは大幅に減らすことができます。
また、沖縄で採れるモズクの成分に、
感染したウイルスが増えるのを抑える効果があることが分かってきて、
症状が出るのを予防することができそうです。
なお、性交渉ではたとえ夫婦間であっても、
コンドームを使うことが感染予防に有効だとされています。
